Yu : vol.34 藤岡 弘、

藤岡 弘、

揺るぎなき精神の源は“武道”である。

未曾有の大災害、東日本大震災発生より1年。中学校におっける武道の必須化の導入。現代日本に何故「武道」が必要であるのか――。失われた「侍」の心。武道家の父より受け継いだ「武士道精神」を体現するため、命の続く限り修業し続ける「仮面ライダー」藤岡弘からの熱いメッセージ。

武士道精神復活の兆しを感じており、大変嬉しく思っています。

欧米人には理解できない「武士道」という価値観

日本人には「個」よりも「公」を重んじ、そしてもっと深い祖先は「天」を重んじるんです。公的・天的なものを重んじ、私的・個人的な事は捨てるんです。己の命は天に捧げるという思いが武士道ですから、金よりも徳を重んじるんですよ。そして競争よりも「和」を重んじる。「和」というものが一番自分の護身になる事を知っていたんです。

『仮面ライダー』は正義を自身の命をかけて実践する、自己犠牲の精神を持ったサムライなのです。

辛く厳しい役者修業時代『仮面ライダー』誕生の秘話

私は『仮面ライダー』を見た時に『鞍馬天狗』を思い出したんですよ。最後の最後、悪党が散々悪いことをして勝利する寸前に、白馬に乗って黒装束で走ってきて、悪党をやっつける。あの爽快な痛快感が私の頭の中に蘇ったんです。

藤岡 弘、(ふじおか・ひろし、)
1965年に都はるみの主演映画『アンコ椿は恋の花』でデビュー。
1971年、特撮テレビドラマ『仮面ライダー』に、主人公本郷猛/仮面ライダー1号役で出演。一躍人気スターになる。
1973年に東宝映画『日本沈没』に主演。歴代の観客動員記録を破る空前の大ヒット。
1976年には、同じく東宝映画『大空のサムライ』(坂井三郎・著の同名の自伝的なノンフィクション本の映画化作品)に主演。
1984年、ハリウッドで『SFソードキル』で主演。日本人として初めて全米映画俳優組合会員となる。
幼い頃より父親から家伝である武術や手裏剣を習得すると共に、空手、居合道初段、柔道三段、抜刀道、小刀護身術四段、刀道七段・教士など、現代武道や武術に広く精通する。